乖離率に関する考察

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移動平均線からの乖離率別に勝率を求めたら…異常値に勝機はあるのか?

乖離率とは始値が、前日終値時点の5日間の移動平均線の値と比較する。

<例>
前日終値時点の移動平均線の値:6401.8円
当日始値:6386円
乖離率:-0.25%
※2021年~2025年前半、1099件
STEP

最高値~最低値(平均、中央値)

上下で約4%以内、ほとんどは+0.2%の範囲で取引である。
指標(%)
最小乖離率−4.14%
最大乖離率+3.72%
平均乖離率+0.17%
中央値乖離率+0.19%
STEP

0.5%刻みでの分布図

上下2%を超えるのは、全体の5%程度である。
乖離率帯件数
3.5~4.0%1 件
3.0~3.5%1 件
2.5~3.0%9 件
2.0~2.5%26 件
2.0%~−2.0%1036 件
−2.5~−2.0%12 件
−3.0~−2.5%5 件
−3.5~−3.0%1 件
−4.0~−3.5%2 件
−4.5~−4.0%1 件
STEP

乖離率毎の検証

指標−2.0%以下±2.0%以内+2.0%以上
取引数(件)21 件1,036 件37 件
勝トレード数13 件571 件21 件
負けトレード数8 件465 件16 件
勝率(%)61.9%55.1%56.8%
平均損益(円)5,714 円8,166 円▲13,351 円
合計損益(円)120,000 円8,461,000 円▲494,000 円
利益合計(円)925,000 円20,780,000 円1,364,000 円
損失合計(円)▲805,000 円▲12,319,000 円▲1,858,000 円
RR(リスクリワード)0.711.690.73
最大連敗数3 回12 回5 回
始値時点の乖離率を売買判断やリスク回避の明確な指標とするのは難しいという点は、検証結果からも妥当である。

実際、±2.0%以上の極端な乖離においては勝率が5割を超えていたにもかかわらず、損益はマイナスであった。これは、ギャップアップ時に利確売りが入りやすい市場構造を反映しており、一時的な上昇に見えても終値ベースでは利益が出にくいことを示している。

一方、−2.0%以下の乖離では勝率が約62%と比較的高く、押し目買いの場面である可能性がある。しかし、平均損益は小さく、リスクリワード(RR)も0.71と低いため、反発の力は限定的である。こうした点から、乖離率は単体では売買シグナルというより「見送り」や「警戒」の補助指標として活用するのが適しているともいえる。ただし、乖離率の有効性は地合いやトレンドによって変動しうるため、ローソク足パターンや出来高など他のテクニカル要素との併用が前提となるだろう。
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